金融危機と言えば「リーマンショック」を思い浮かべますが、本質を理解していますか?金融危機でも、自然災害でも、大きなショックからは次への備えを学ばなければなりません。原因は何なのか、どういう状態が危ないのか、どういう商品に手を出してはいけないのか。ここでは、パーソナルファイナンス教育の必要性が問われたきっかけを解説していきます。リーマンショックの理解が金融教育の一環となれば幸いです。 <伏線はパリバショック> 伏線は2007年8月9日、フランス大手金融グループBNPパリバによる傘下のミューチュアル・ファンドの解約凍結でした。米サブプライム(本来、住宅ローンが利用できない低所得者)ローン関連の証券化商品が不良債権化し、信用悪化で買い手がつかない事態=解約による現金化が不可能になり、信用不安に発展しました。BNPパリバは先んじて解約凍結を行うも、それがバブル崩壊の伏線となっていきました。 <サブプライムローン問題> サブプライムローンは信用度の低い借り手に対して、高金利で貸し付ける住宅ローンのことです。住宅バブルにより住宅価格の急上昇が続き、金利支払いのみの住宅ローンでも、住宅価格が上昇したら売却し返済ができるというものでした。本来住宅ローンを借りられない人向けの住宅ローン債権は、高金利高利回りで証券化され人気の金融商品でした。全ての相場が急騰するバブルの中では、リスク許容度は高く、利回りの高さが人気となりました。低所得者もマイホームを取得できるものであり、バブルが弾けるまで売りまくられ、金融商品となりリスクが世界中に拡散されました。 <リーマンブラザーズが想定外の破綻> リーマンブラザーズは2008年9月15日に破綻、世界中の株価が暴落し金融危機へとつながりました。米大手証券リーマンブラザーズは Too big to fail(つぶすには大きすぎる)と言われていました。つまり公的資金を投入し、救済されるものと思われていたことで、破綻が発表され緊迫化しました。救済されるだろうという思惑が外れたことも、危機感に拍車をかけた格好です。ソフトランディングできない状況もあり、金融派生商品の規制強化につながりました。 <3大バブルが一気に崩壊> 今思えばこの当時はバブル、全てのバブルが逆回転を始めるも、特に3大バブルは異常な状態でした。3大バブルは、前述の米住宅バブル、コモディティー(商品相場=原油・金属・穀物相場など)、そしてユーロバブルでした。返済できない人向けの住宅ローン証券化商品、原油価格も史上最高値を更新、ユーロは導入来高値を更新する、まさに熱狂の渦の中にありました。 <金融危機と心構え> 金融派生商品(デリバティブ)とは、原資産から派生した金融商品で、高リスク・高リターンの複雑な金融商品が多い。サブプライムローンは高リスク(返済できない可能性)な債権のみを証券化しており、住宅価格上昇が止まれば紙くずになってしまいます。サブプライムローンの持続懐疑性は指摘されていたものの、買いが買いを呼ぶ展開の中では簡単に止まりません。バブルは冷静に振り返れば異常な相場と分かります、一方で弾けるまでは判断が難しいのが実情です。リーマンショックという金融危機をきっかけに、金融教育の国家戦略化機運が高まりました。個人の金融知識・金融リテラシーを高める必要性は高まっており、心構えを学ぶことも大切です。各個人が基本的な知識を身に付け、最適な対応力を身に付ける必要性に迫られています。 以上
