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<21>相続の3形態

  皆さん、少子高齢化や家族形態の変化により、相続がスムーズにいかないケースが増えています。故人が住んでいた住宅が空き家になる問題もあり、不動産がある場合には特に注意が必要です。相続が「争族」にならないためにも、相続の3形態について理解を深めていただきたいと思います。相続の形態には、1単純承認、2限定承認、3相続放棄、の3形態があります。
<相続が発生したら>
  相続が発生したら、まず相続人・相続財産の確認と確定を行います。改正原戸籍(原戸籍)・除籍謄本のほか、取引金融機関・不動産・クレジット・消費者金融などを確認します。次に相続の方向性を協議します。不動産があり居住しない場合は、共有を避けて処分しやすくした方が賢明です。そして遺産分割協議書を作成し、分割方法や分割割合を決定します。その際、遺留分には注意が必要です。遺留分侵害請求権とは、民法に規定されている最低限の遺産を受取る権利を侵害している者に対し侵害額に相当する金銭を請求できる権利です。その後銀行等の手続を行い、場合によっては相続税の申告や準確定申告などを行います。相続税の申告は10か月以内、準確定申告は相続人が4か月以内に行います。
<1.単純承認>
  被相続人の権利や義務を全て相続する方法です。プラスの財産もマイナスの財産も、全て引き継ぐことになります。万一、借金などがある場合は注意が必要です、事前にきちんと確認をしてください。
<2.限定承認>
  プラス財産の範囲内で、借金などの債務の弁済を負う方法です。相続人のプラス財産からその債務を支払うので、相続人が自己の財産から支払う必要はありません。相続人にプラス財産とマイナス財産のどちらがいいか不明な場合に有効です。但し、限定承認は相続人全員が共同で行う必要があり、手続きも面倒なためあまり行われていないのが現状です。また、期限は3か月以内です。
<3.相続放棄>
  プラス財産もマイナス財産も全て引き継がない方法です。借金の方がプラス財産よりも明らかに多い場合などに有効です。相続を放棄すると、その者は初めから相続人でなかったことになります。相続放棄は限定承認と違い、一人でも行うことができます。期限は被相続人の死亡を知り、且つ相続人となったことを知った日から3か月以内です。家庭裁判所に期限内に(相続放棄申述書)申し出なかった場合、単純承認したことになります。また、相続財産の一部または全部を処分した場合は、原則として限定承認や相続放棄することはできません。最近では、遺産相続争いを避けるための相続放棄も多くなっています。
<相続手続きの留意点>
  近年では遺産総額5000万円以下で相続争いに発展するケースが70%超となっています。遺言書がなく被相続人の意志が確認できない、身内であるがため遠慮なく主張することも原因です。また、親の介護をした、生前に贈与や援助を受けた、不動産が中心で分割しにくい、など不平等感を背景に感情がもつれることが多いのです。その他にも、相続人の家族が口をはさんでくるなど、厄介なケースも多いようです。兄弟姉妹であれば、親が元気なうちに「争族」が起こらないように話し合いをしておいた方が良いと思います。
                                                                以上
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